本記事は、アメリカの第三者鑑定機関NGC(Numismatic Guaranty Company)より正式な許可を得て、同社のコンテンツを引用しつつ偽造コインに関して解説を行なっております。
コレクターの皆様が、安全に本物のコインを見極めるための参考資料としてご覧ください。
今回は「1917 イギリス ソブリン金貨 ジョージ5世」に関する偽造コインのチェックポイントとなります。

1917 イギリス ソブリン金貨とは
1917年のイギリス・ソブリン金貨は、イギリス王ジョージ5世の治世下で発行された金貨です。
表面にはジョージ5世の肖像が刻まれ、裏面には英国金貨の象徴である「聖ゲオルギウスの竜退治」のデザインが採用されています。
ソブリン金貨の中でも、第一次世界大戦期にあたる1917年銘は特に注目される存在です。
1917年ロンドン鋳造のソブリン金貨は、The Royal Mint によって「20世紀で最も希少なソブリンのひとつ」と位置づけられています。
その理由として、生産数が非常に限られていたことが挙げられます。また、戦時中および戦後に金地金として溶解された可能性が高く、その結果、市場に現存する個体はごく少数と考えられています。
このシリーズに多い偽造品のタイプ
- Transfer-die counterfeit
Transfer-die(トランスファーダイ)とは、本物のコインのデザインをそのまま型に転写し、その型を使って新しく偽造コインを打刻する手法となります。
本コインにおいては、この「トランスファーダイ(転写ダイ)」と呼ばれる高度な手法で作られた偽造品が多く確認されています。
主な見分け方のポイント
見分ける時のポイントとしては、以下のような部分があります。
- 偽物はしばしば細部の彫りが浅い
- 縁のギザギザ部分からから不自然な突起が出ている
- 同じ形状の窪みが繰り返し現れる

20世紀初頭の英国ソブリン金貨は、アンティークコインの中でも特に人気の高いシリーズとして知られています。
手頃な価格帯で入手できるためコレクターからの需要が強く、市場では常に安定したプレミアムで取引されています。
その一方、需要の高さを狙った偽造品も非常に多く、NGC鑑定でも偽物と判断されるケースが頻繁に見られます。
ソブリン金貨は“偽造が多いコイン”として特に注意すべきカテゴリーといえるでしょう。
■ 出典・クレジット
© Numismatic Guaranty Company.
All information and images in this article are used with permission from NGC Coins (https://www.ngccoin.com).