NGCやPCGS、ANACSといった鑑定機関にコインを鑑定してもらうと、ラベル表記に「ex-jewelry」と記載されているのを目にすることがあります。
これは、かつて宝飾品として使用されたことのあるコインを意味します。

具体的には、ペンダントとして吊るすために穴を開けられていたり、美観を高めるために磨かれていたり、アクセサリーとして固定されていたりする場合です。
このように本来「貨幣」としての姿から手が加えられたコインは、個人的なアレンジや芸術的価値を持つ一方で、貨幣としてのオリジナルの状態を損なってしまい、市場での評価額に影響を及ぼすことがあります。
Ex-jewelryのコインを見極めるには、過去の改造や使用によって残された小さな痕跡を注意深く確認する必要があります。
必ずしも肉眼で簡単に判別できるとは限らず、非常に巧妙な加工や、時間とともに自然な経年変化と区別がつきにくくなることもあるため、専門知識や拡大鏡などのツールが必要になる場合もあります。
典型的な例としては、アクセサリーに固定された際に残る物理的な傷や痕、不均一な摩耗パターン、あるいは過度な研磨の跡などが挙げられます。
これらの改変はグレーディングにおいて極めて重要であり、コインの真贋性や完全性、さらにはコレクターにとっての価値に直結します。
これに関連して、「mount removed」という鑑定結果も存在します。
これは、かつて宝飾品に加工されたコインが、その装飾から取り外された状態を指します。コインはネックレスやブローチなどに取り付けられることがありますが、その後に外されるケースもあるのです。
現在でも、宝飾品としての形を保ったままオークションに出品される場合もあります。

このような指定を受けたコインは、元の状態を保ったコインと同等のプレミアムが付くことはありません。
しかし、宝飾品として人々の生活や文化に影響を与え、個人のアクセサリーや芸術的表現の一部となった点に独自の魅力があります。
PCGS, NGCなどのきめ細かい鑑定プロセスによって、これらのコインの物語は保存され、価値づけられていくのです。