アンティークコインに興味を持つと、おそらくダカット金貨というコインに頻繁に出会うことでしょう。
しかし、ダカット金貨をよく見ると、同じデザインの中にゼッキーノと書かれたコインも存在します。
これについて、ダカットとゼッキーノは同じなのか、それとも異なるのかについて疑問を抱く方もいることでしょう。そこで、本記事ではこのテーマについて詳しく解説します。
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ダカット金貨とは
ダカット金貨は、欧米で最も有名なコインの一つです。
その名前は英語で"ducat"と表記され、ラテン語の"ducatus"に由来しています。
"ducatus"は「君主」を意味し、ダカット金貨は「君主のコイン」という意味を持ちます。
このコインは約3.5g、そして97%以上の金の含有率のコインのことをいいます。
ダカット金貨から派生したものはたくさんあり、2ダカット, 4ダカット, …10ダカットなどは、このダカットを基準としています。
ダカット金貨は貿易を目的として製造され、13世紀から20世紀の初頭まで使用されていました。
これほど長い間利用された金貨は他にあまりないと思われます。
そのため、最も世界の中で成功した金貨の一つと言われています。
このコインはヨーロッパの多くの国において、異なるデザインで発行されており、ゼッキーノタイプ、オーストリアタイプ、スペインタイプ、オランダタイプなど他にも様々な種類が存在します。
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ダカットとゼッキーノ
多くのダカット金貨が発行されたことで、ある論争が起こりました。
それは、どのコインをゴールデンダカットとして分類するのかということです。
そして、最初のゴールデンダカットは1284年にヴェニス大公の命令によって製造されたものであると言われております。
*諸説あるそうです
そして、そのコインにつけられた名前は「ゼッキーノ」でした。
つまり、ゼッキーノは、ゴールデンダカットの一形態であり、ヴェニス大公によって鋳造された金貨の一つの名称ということです。
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ダカット金貨の誕生
ダカットが作られたのは、ビザンツ帝国の皇帝ミカエル8世パレオロゴスによって作られていたヒュペルピュロン金貨(hyperpyron)の品質の低下が原因でした。
ヒュペルピュロン金貨の品質の低下はヴェニスが東地中海と貿易するにあたって、良いものではないです。
例えば、ある商品Aが純金100%で取引されるのが適正な場合を考えましょう。
しかし、もし商品Aの金の含有率が低下して50%になってしまうと、商品Aを受け取る側は50%安く手に入れることになります。一方、100%の金だと思って商品Aを取引していた人は、予想よりも50%安く売ってしまっていることになります。このような状況では、公正な取引とは言えず、経済にも悪影響を及ぼす可能性があります。
よって、ヴェニスの議会は自分たちのコインを非常に高純度で製造することに決めました。
3.5gで97%以上の金の含有率を基準とすることで、他の人がごまかすことをできないようにするのです。
しかし、ゼッキーノ金貨には超ハイクオリティな偽物もあります。これは本物と見紛うほどのクオリティがあるので、同等として扱われてしまうこともあり、現在では逆に本物より価値が高くなることもあります(笑)
下写真はゼッキーノ金貨のimitative(模造品)です。本物と見間違うほどの出来栄えです。
このようにして、ゴールデンダカットは生まれ、ヨーロッパの貿易コインとして広まっていきました。
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まとめ
ゴールデンダカットが作られたのは、13世紀に、ヴェニスの商人達によって利用されていた同時代のコインの状態があまりにも低品質であったためです。
よって彼らは基準となる重さを作り、高純度で自分たちのコインを製造しました。そのため、ダカット金貨には典型的なデザインを使われていないにも関わらず、完全な貿易コインとして広まって行ったのです。
時代や場所によってデザインが変わっても、ダカットがダカットであることは変わらなかったのです。
金貨の誕生には歴史的な背景や工夫が関わっており、それを知ることでコインの魅力をより深く理解することができます。他にもさまざまなコインが存在するので、調査してみると面白いでしょう。
CoinBlessing店主 山本