お金を知ることが非常に重要なのは、私たちの日常生活、経済に密接に関わっているからで
す。
貨幣の登場以前、人々は物々交換によって生活していました。しかし、貨幣の導入により、取引のルールが標準化され、社会全体の活動を調整・管理する力が生まれました。これは単なる「便利なツール」を超えた、社会構造そのものの変革でした。
貨幣があるために、形式にのっとった数字の計算が日常生活の重要な部分を占めるようになり、人々の考え方も変わっていったのです。
古代ギリシャをはじめとする世界の様々な地域で、科学や政治学、芸術などの分野で文化が花ひらいた時期が、貨幣が採用された時期と重なったのは偶然ではないかと思われます。
アレクサンドロス大王は、広大な領土を征服して、自らの肖像を刻んだ硬貨を発行し、それが150年にわたり鋳造され続けました。これは現代において、アメリカのドルが世界の基軸通貨として流通している状況と重なります。貨幣が力を持つ背景には、経済の強さと、それを支える軍事的影響力があるのです。
貨幣がもたらされた後には、文化が栄える傾向が多く見られたので、大王の個人教師だったアリストテレスの著書も世界中に広まり図書館に収められました。いまだにアリストテレスの貨幣理論が教えられているのは、そのためでもあります。
そして現代。アメリカのドルが強大な力を持つ中、BRICS諸国などが新たな通貨圏の構築を試みている?のは、貨幣が国家の力そのものであり、影響力を持っているからです。
いま握りしめている一握りの貨幣は、世界のバランスをも動かす力を秘めた存在です。
お金を知ることは、実用的な面ももちろんそうですが、マクロな視点で見ることも非常に大切なのです。