【今日の余白】最初のテトラドラクマのデザイン

いつも大変ご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

Coin Blessing 店主の山本です。

 

今回は、テトラドラクマ銀貨について調べていた際に出会った、古代ギリシャの驚くべき世界観を少しだけご紹介したいと思います。

 

◆女神アテナとアテネの命名権
昔、女神アテナは、現在アテネとして知られている町の「命名権」を手に入れました。
当時はまだ貨幣が存在しておらず、アテナは現金で支払うことはできませんでしたが、代わりに貴重な贈り物をアテネの人々に与えました。

 

それが、「オリーブの木」です。

このオリーブの木は、以後アテナとアテネの象徴として長く受け継がれていくことになります。

 

◆最初のアテネ・テトラドラクマ銀貨

最初のテトラドラクマ銀貨

参考:https://www.archaeologs.com/i/36/wappenmunzen?gobacklng=en

 

この銀貨の表面には、ゴルゴンの頭部「ゴルゴネイオン」が描かれています。これはアテナ自身が生み出した存在です。

 

物語はこうです。
アテナの叔父であるポセイドンが、アテナの神殿内で美しい巫女メデューサを暴行しました。アテナは神殿が汚されたことに激怒しましたが、海の神ポセイドンに対しては何もできず、代わりに被害者であるメデューサを罰してしまいました。メデューサは髪が蛇の姿をした怪物「ゴルゴン」へと姿を変えられてしまいます。

その後、英雄ペルセウスがメデューサを退治し、その首をアテナに献上。アテナはその首を胸当て(または盾)に飾りました。

 

本コインの裏面には、ヒョウの頭部と前足が描かれています(一部の文献ではライオンとされることもあります)。また、ごくまれに、裏面に牛の頭部が描かれたバリエーションも存在します。

 

◆ ギリシャ神話の“驚き”
このエピソードを読んでいて、いくつか疑問が湧きました。

・なぜ、ポセイドンに暴行されたメデューサがアテナに罰せられたのか?
・なぜ、自分が生み出したゴルゴンの首を、自らの盾に飾ったのか?

現代の倫理観から見ると、これらは非常に不条理で、狂気にも思える内容です。

 

さらに調べてみると、ペルセウスにメデューサを討たせたのもアテナだったとか…。
アテナには、この他にも驚くべきエピソードがたくさんあります。

 

個人的に特に衝撃を受けたのは、アテナの誕生エピソードです。
なんと、父ゼウスの頭をかち割って、そこから完全武装した姿で生まれたというのです。

 



ギリシャ神話はとにかく壮大で、そして突き抜けたエピソードの宝庫です。

そんな神話の物語が、コインのデザインとして実際に刻まれていることに、私はとても魅力を感じます。


コインを通して、神話や歴史に触れ、そこから広がる世界に思いを馳せる。
そのきっかけをコインが与えてくれるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。

 

今回のメデューサに関しては、まだ背景について詳しく調べてはおりませんが、ただただ可哀想という感想を持ってしまいました。

 

引き続きコインの魅力を皆様に共有していければと思います。

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