CoinBlessing(コインブレッシング)
【善良王】1350-64 フランス フランカシュヴァル金貨 MS63 NGC ジャン・ル・ボン
【善良王】1350-64 フランス フランカシュヴァル金貨 MS63 NGC ジャン・ル・ボン
受取状況を読み込めませんでした
1350-64 フランス フランカシュヴァル金貨 MS63 NGC のご紹介です
今回の商品説明はすこし長くなりますが、ご了承ください。。
これぞアンティークコインという物語性のある一枚です!
>>【デザイン】
- 表:兜をかぶり剣を高く掲げ、馬に乗って疾走するジャン2世
- 裏:繊細な花模様の複合十字
表面は、甲冑と胴衣をまとった王が、華やかな装飾を施された馬に騎乗し、左を向いております。兜の上には小ぶりな王冠が載り、威厳と気高さを象徴しております。
「cheval」は馬を意味します。本コインが「フランカシュヴァル」と呼ばれているのはこのデザインに由来します。
裏面は、四つ葉型の枠の中に、複合十字が刻まれております。柔らかな曲線と精緻な意匠が調和し、格式と神聖さを感じさせる構図となっております。
騎馬姿の王や花、十字架といったモチーフがあしらわれた本コインは、中世フランスの象徴的な要素を凝縮した、まさに“フランスらしさ”あふれる一枚です。
美術的・宗教的要素に加え、王権の象徴としての側面も感じられ、その歴史的な魅力がコレクター心を強くくすぐります。
>>【善良王 Le Bon】
ジャン・ル・ボンはヴァロワ朝第二代の王で、父はフィリップ6世、息子は後に「賢明王」と称されるシャルル5世です。(賢明王についてはこちらを参照してください。)
歴史の中で彼は、「ジャン・ル・ボン(le Bon)=善良王」と称されています。
それは、彼の人間としての誠実さ、そして“騎士道精神を貫いた王”としての姿に由来します。
1356年、ジャン2世はイングランド軍と対峙する「ポワティエの戦い」に自ら出陣します。中世の王は、戦場に出ることもありましたが、最前線で剣を振るう王はそう多くありません。
彼はまさに命を懸けて戦った王でした。しかしこの戦いは、フランス軍の大敗。彼はなんと、王自らイングランド軍の捕虜となってしまいます。(ちなみにポワティエの戦いで活躍したのはかの有名なエドワード黒太子)
イングランドに連行されたジャン2世は、ロンドンで長い幽閉生活を送ります。フランス側は彼の身代金として、当時の金額で天文学的な「300万エキュ(約10トン以上の金)」を支払うことになります。
身代金の交渉の末、ジャン2世はいったん帰国しますが、代わりに息子のルイが人質としてイングランドに残されました。
ところが——
その息子がイングランドから逃亡してしまうのです。
ここで彼は、自ら再びイングランドへ戻ることを選びました。逃亡しても咎められることのない立場だったにも関わらず。
王として、人として、必ず誓いは果たし、自分の責務を全うする。
彼は、王の威厳と誠実を守るために、自分から囚われの身になる道を選んだのです。
ここに彼が「善良王」と呼ばれる理由があります。
歴史家によっては「善良」というより「騎士道的だが政治能力に欠けた王」と評することもあります。つまり、この称号にはある種の皮肉や同情も含まれている可能性もあると。
しかし、たとえ政治的な手腕に限界があったとしても、彼の行動は中世ヨーロッパにおける“理想の王”として、多くの人々の尊敬を集め、「誠実の王」「誇り高き騎士王」として語り継がれているのです。
ジャン2世の肖像が描かれた金貨「フランカシュヴァル」は、彼の“誠実なる王としての姿”を象徴しています。
馬にまたがり、剣を掲げるその姿には、混乱の時代にあってなお希望と尊厳を守ろうとした王の想いが込められています。
>>【Franc à cheval】
ポワティエの戦いの結果、ジャン2世が幽閉された状態で、イングランドは莫大な身代金(推定300万エキュ)を要求します。
この莫大な金額を賄うため、フランス政府は新たな金貨の鋳造を余儀なくされます。こうして誕生したのが「フランカシュヴァル」です。
デザインには戦う王ジャン2世が剣を掲げて馬上に立つ姿が描かれています。
この姿は、たとえ囚われの身であろうとも王の尊厳と国家の威厳を失わぬという、強い政治的メッセージを含んでいたのです。
当時、ジャン2世の解放と自由の回復は国民の切なる願いであり、この貨幣には「自由への希望」や「国家再建」の象徴としての側面も備わっていたのです。
混乱と希望の狭間で生まれたメッセージ性の強い貨幣となります。
本コインのグレードはMS63
現時点において、より上位のグレードはわずか5枚しか存在せず、同グレードにおいても20枚と、大変希少性の高い一枚かと思われます。(NGC鑑定)
私の個人的な感覚ですが、フランカシュヴァル金貨は「良質な価格・状態」で入手できそうでいて、案外なかなか出会えないコインだと感じています。ポツポツと市場に姿を現すものの、タイミングや条件が合わなければ入手が難しい印象です。
MS61〜63のグレードでさえ、約10年前には20〜30万円で取引されていたのに対し、現在では60〜80万円で取引されることが多くなっており、確実に価格は上昇。資産としての実績もしっかりと残しております。
価格向上性の根拠もあり、今後さらに希少性も増していくかと思われますので、本コインのグレードでこの価格なら良い水準ではないかと思われます。
また、本コインは「フラン通貨体系」の重要な起点となったことでも知られ、非常に歴史的意義の大きい一枚。今後の伸びしろにも期待を寄せているアンティークコインのひとつです。
歴史を物語る金貨には、それを発行した人物の想いや背景が込められております。
ジャン2世の「善良さ」とは、ただの性格を超え、王として、そして一人の人間としての生き様そのものを体現しているように思えます。
その精神を、今に伝える一枚の金貨。それが、「フランカシュバル」。
この誠実さ、精神性は今の世の中に最も求められているものかもしれません。
この機会に、ぜひご検討いただけましたら幸いです。
商品説明を書きながら改めて感じるのは、資産としての価値の中に宿る物語やロマンこそが、アンティークコインを他の資産と一線を画す存在にしているのだということです。歴史の真偽はさておき、「もしかしたら、そんな時代が本当にあったのかもしれない」と想像するだけで、心が躍ります。
ぜひ皆さまも、お楽しみください。
Features
国 | フランス |
年代 | 1350-64 |
材質 | AV(Gold) |
グレード | MS |
重量 | 3.76g |
直径 | 29mm |
鑑定機関 | NGC |
鑑定番号 | 6644314-001 |
保存方法 | スラブケース |










